集合は朝の5時の湯来交流体験センター。周りを見渡すと、頭上からのかすかな月明かりを除いえしまうと

ただただ真っ暗で、昼間はたくさんの人々でにぎわうセンターも、朝の5時ともなると、

やはり誰一人として人の気配はなく、僕たちの静かな吐息だけが聞こえていた。

僕たちは軽トラを使い、永遠に続くかのように思えるでこぼこ道に身を揺さぶられながら、

ひたすら大峯山登山口目指して運転していく。

真っ暗な湯来町の大自然の中を軽トラで進むこと30分、登山口到着。

当たり前にそれまであった車のライトを消すと、今まで見えていた生い茂る木々やそこら中にある

石ころたちが、一瞬にして闇に包まれる。

おなかをすかせた熊やイノシシたちが襲ってこないことを願い、スマホのライトを頼りに、

大峯山の登山道を黙々と上りだす。

途中の、カサカサッという音や、岩の不気味なシルエットが、そこには恐らくいないであろう

獣の気配を僕たちに感じさせる。

登山口から頂上までは30分ほど、と聞いていたはずだが、もう1時間は上ったのではないか?と勘違いするほどに、

息遣いも荒くなり、包まれている暗闇に目が慣れることもないまま、あともうちょっとで山頂に違いないと自分を鼓舞しつつ、

さっき家を出るときに愚かにもうっかり選び間違えたスリッパをどすどすと上のほうへ上のほうへめがけて踏み進める。

突然前方で誰かがすっと立ち止まり、あたりを見回している様子。

さては道に迷ったのか?と疑う僕だったが、彼の顔を見たときにそれは違うということが一瞬で分かった。

そのくらい彼の顔はとても暗闇の中で澄んでいて、彼の眼は青く波打っていた。

僕は、ここか、とだけ思うと、あとはこの景色を目に焼き付けなければならぬと思い、

ただそこに立ち尽くした。無言で。

大峯山山頂:1050メートル